以前の記事でCS分析を用いて改善すべき点を明らかにする方法を解説いたしました。
https://www.shioring.com/work/csbunseki/今回の記事ではCS分析の結果から改善度指数という値を求めて、改善すべきポイントの優先順位を求めます。
この記事には、一部数学の知識がないと理解できない部分があります!
上記のグラフのようにはひと目で改善すべき点は「価格」とわかります。
でも下のグラフのような場合は改善点が多くてどこから手をつけたら良いのかわかりません!
もちろん、購入意向を上げるためには、右下のポイントは全て改善するのが良いですけが、改善に費やせるリソースは限られています!
そこで優先順位をつけるときに求めるのが「改善度数」という値です。
改善度数の求め方
そこで優先順位を求めるために、改善度指数を求めます。
改善度指数の求め方は「原点からの距離×角度」です。
距離は原点からの距離(上の図のL1やL2)などで、 角度は右斜め下45℃からの角度です。(上の図のθ1やθ2です)
上記のCS分析解説記事の消費者評価の例の結果から、改善度指数を求めたのが下の表です。
一番右の列が改善度指数です。
この改善度指数が大きい項目ほど優先的に改善していきます。
満足度をy,重要度をxとしてプロットしたときの、原点からの距離は簡単に求められます。
でも角度を求めるのはちょっと面倒です!特にエクセルでやろうとすると、ちょっと複雑な操作が必要です。
まずはX軸とY軸のスケールを合わせて、さらに座標全体を回転させるという操作を行っていきます。
X軸とY軸のスケールを合わせて、中心点を原点にする
まず上記のグラフは均一に分布していますが、実際はY軸は0~100, x軸は-1~1のスケールとなっています。
これを正しく評価するために、X軸とY軸のスケールをあわせます。
今回はX軸(重要度の値)を50倍し-50~50のスケールにしてX軸とY軸のスケールをあわせました。
こんな操作勝手にしていいの?と思われるかもしれませんが、改善度指数はその数字自体に意味はありません。(優先順位をつけるだけでは)
数字の大小による優先順位付けが重要なので、数字の大小が変わらない操作なら問題ありません。
スケールを合わせたら、今度は中心値を原点にします。
現在の中心点は(0,50)なので、Yの満足度から50、Xの重要度から0をひきます。
座標45度回転させて角度を求める
ここまでできたら、プロットしたグラフを印刷して定規と分度器を使えば改善度指数は求められます。
でもスマートじゃありません!
次に右斜の線(赤色の線)と各点を結んだ線(黒色の線)を角度(θ)を求めますが、そのために座標全体を45度回転させます。
(x,y)の座標を角度Aを回転した(x’, y’)は回転行列を用いて以下のとおりになります。
この行列式から x’=xcosA-ysinA y’=xsinA+ycosAとなります。
上の行列式がよく解らなくても、エクセルで以下の数式を入れてオートフィルすれば一発です
今回はA=45度つまりπ/4を代入します。
重要度C=重要度B*cos(-pi()/4)-満足度B*sin(-pi()/4)
満足度C=重要度B*sin(-pi()/4)+満足度B*cos(-pi()/4)
これで、全ての点が45度回転されました。
ここまでできたら、角度を求めるのは以下の記事で紹介したとおり、atan2関数を用いて求められます。
https://www.shioring.com/work/coordinate/求める角度θ=degrees(atans2重要度、満足度)で求めます。
さらにこの角度を修正します。 具体的には下図のような変換です。
これは=(90ーabs(角度))/90で求められます。
改善度指数を求める
もうここまでくればあと少しです!
原点からの距離は=SQRT(重要度^2+満足度^2)で求めますので、この距離と修正角度をかけると改善度指数が求まります。
先にも説明しましたが、この数字自体に意味はありません。
数字の大小に意味があります。
この結果から改善すべき優先度は数字の大きい順に、価格>バラエティ感>美味しさ>容器>見た目>容量>栄養となります。
このようにして、数学を少し使えば一歩上のマーケティングを行う事ができます。
改善度指数から改善項目を明確にすればより早く、効果的な打ち手を実施することができるのです。
以上、CS分析から改善度指数の求め方でした!